●くまださんの物語「親友の話」かわむらすずみ 作

空に浮かぶ雲をながめることが好きなクマのくまださん。
晴れた日には、ティーセット入りのバスケットをさげ、お散歩に出かけます。
空が大きく見えるいつもの丘へ向かう途中、耳元で声が聞こえました。
一年に一度だけ会えるくまださんの親友、雪虫の声です。

「今日は少し暖かだね」
「おや。雪虫君、今年も会えた!」
「やあ、元気だった?昨日面白い子に会ったよ」
「どんな?」
雪虫は話を始めました。

「おっちょこちょいの子がさ。僕を食べちゃおうとしててね。
ぽっかり口を開けている様子が、おっかしくて、笑っちゃったよ。」
「あはは、面白いね。」
「うん。おっと、そろそろ行くね。じゃあ、また来年!」
雪虫はそういうと、柔らかく舞う綿毛のように飛んで行きました。
「ああ、また来年会おうね!」

(もうすぐ雪が降るんだ。ふふ、暖かい部屋で
じっくり推理小説を読もう。今から楽しみだな)
くまださんは、またウキウキ歩き出しました。



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